六古窯の土で作陶してみました



六古窯(越前、常滑、瀬戸、信楽、丹波、備前)はそれぞれの土地で、その地ならではの
気候風土の特色を生かしながら、独自の地方文化を支えてきました。
焼成法は同じでも、土が異なると焼けにはどんな違いが表れるのでしょう?

ここでは、六古窯それぞれの土地の土を取り寄せて、
備前の窯(一部を除く)で焼成したものをご紹介してみたいと思います。
「土」が違うと「焼け」も随分と違うことに驚かれるかもしれません。





備前の土
 
瀬戸の土
いわゆる「抜け」を風景とした茶入である。
現れた土肌の侘びた風情が、この小品の生命である。大きな器を盾にして、円形の小さな器を縦に積み上げてみたりする。そこに、無作為の作為とでもいうべき絶妙の「抜け」が生まれてくる。古備前に見る黄胡麻の茶入にない新しい雰囲気が漂う。
  美濃、多治見の工房で焼成したものだが、土見の白を見る限り瀬戸系の土というよりも美濃系志野の土のように思われる。瀬戸、美濃いずれも、古く東海湖の堆積物の所産とされるが、時間的、地域的な差が陶土に大きな変化をもたらすようである。因に、この茶入は鉄釉をガス窯で焼成している。




備前の土
 
常滑の土
備前の土もガス窯で焼成すると和らかい白色に焼き上がる。
藁を巻いた処に発色する緋色との対照は、備前特有のものである。登り窯による緋襷に較べて、紅の鮮やかさには清新な感じさえ受ける。
  常滑の土は通常耐火度が低いとされている。この茶わんの焼き成りを見ても、器全体が赤紫色を帯び、襷が赤黒く発色している。しかし、同じ常滑の土でも、火に強いといわれる信楽に似て、白い焼き上がりを呈することもある。常滑の土と一括されるが、海成の堆積岩系のものと東海湖の堆積物、瀬戸、美濃系ものとがある。




備前の土
 
越前の土
片身変りの黄胡麻と土味が備前焼の特徴をよく表している。
窯内、第一室(ウド)の火前、比較的高温の場所で焼成したものらしい。水簸しないでロクロ引きした器には、原土(ヒヨセ)の味が充分に残っている。胡麻の表面に現れた長石粒の白斑が印象的である。
  口縁、灰の僅かなふりかかりがあることを考えると、ウドの中列か後列、最上段の焼けと思われる。越前の土の大概は流紋岩系と花崗岩系との混成と考えられる。備前の焼けに比べて、ザラザラと粗い感じがあり、全体に剛直で、黒ずんで見える。土自体備前と近いものであろうが、混入物の複雑なことと容脱作用の半ばのためであろうか。




備前の土
 
信楽の土
登り窯ウド前列最上段(天井)で焼成した水指である。蓋から口縁、胴にかけて黄胡麻がかかる。左側に現れる淡い色調の抜けは、密着して焼成した他の器物の影である。優雅な形にネットリとした土味は、江戸初期伊部手の古備前の風趣がある。   備前の窯で焼成した信楽の水指であるが、一見してそれと判る。六古窯の中で、信楽と備前とは焼けの違いが歴然としている。或は、信楽の主な母岩が花崗岩であることに由来するのかも知れない。ただ、この水指は、備前の窯で時間をかけてゆっくりと焼成した分、穏やかな器肌になったようだ。




備前の土
 
丹波の土
備前の土味である紫蘇色に炭桟切の灰色の斑がひとつのアクセントを添える。また、炎の流れが、帯状の明るい金・銀彩になって器肌に現れている。作品の際に炭を落し込むことによって、古色蒼然とした赤色単味の備前に、ほっとするような景色を表現するのである。   丹波の土は備前の土と最も近似している。備前の土が一度海水による洗礼を受けているところから、微妙な差が現れてくる。おそらく、丹波の土の方が耐火度が高いのであろう。胡麻の溶け具合や器肌に灰黒色・紫色などの焼むらが見られる場合がある。それでも、備前の窯でじっくりと焼き締めると、この徳利のように銅製品を思わせるような焼けとなる。



作品製作:人間国宝 故山本陶秀

画像:毎日新聞社c 「六古窯の旅 人間国宝 山本陶秀展」より
(制作:日本写真印刷株式会社)



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